フルメタル・ジャケットを観て
今回は映画「フルメタル・ジャケット」について書きたいと思います。ハートマン軍曹で有名な映画ですね。
概要1987年公開のアメリカ映画。監督はスタンリー・キューブリック。ハートマン軍曹役のロナルド・リー・アーメイは札付きの不良から軍隊に入り、退役後俳優になった異色の経歴を持つ方です。
この映画は2部構成になっていて、前半はハートマン軍曹と訓練兵達の姿を描き、後半はその訓練兵達の現地ベトナムでの激戦の様子を描いている。
あらすじ
ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊に志願した青年たちは、サウスカロライナ州のパリス・アイランド海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。さらに連帯責任による懲罰、訓練生の間で行われるいじめなど閉鎖的な空間で受ける社会的ストレスが次々と描かれていく。落ちこぼれだった訓練生レナード(微笑みデブ)はこれにより精神に変調をきたし、卒業前夜にハートマンを射殺し自害する。
厳しい訓練を耐え抜き一人前の海兵隊員となった彼らは、ベトナムへ送られる。テト攻勢の後、前線での取材を命じられた報道部員のジョーカーは、訓練所での同期であったカウボーイと再会し、彼の部隊に同行することとなる。ある日カウボーイたちは、情報部から敵の後退を知らされ、その確認のためにフエ市街に先遣される。しかし行軍中に指揮官をブービートラップで失った上に敵の狙撃を受け、部隊は混乱する。 (wikiより引用)
前半部での見所は、ハートマン軍曹の罵詈雑言とレナード役のヴィンセント・ドノフリオの演技ですね。前半部のクライマックス、レナードがハートマン軍曹を射殺してしまうところは鳥肌が立ち寒気すらしました。
ちなみにタイトルになっている「フルメタル・ジャケット」とは完全装甲弾という実弾のことで、見回り役だったジョーカーが「実弾か?」とレナードに尋ねたところ彼が「ああ、フルメタル・ジャケットさ」と言うところで登場します。
少しばかりハートマン軍曹の「名言」をまとめてみました。
海兵隊員は許可無く死ぬことを許されない、分かったか、ウジ虫野郎!!
その日まではウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ
まるで、そびえ立つクソだ
じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!
ベトナムに行く前に戦争が終わっちまうぞ、アホ!
俺がこの世でただ一つ我慢できんのは―――鍵をかけ忘れた小型トランクだ!
汚い言葉だなぁ
そして
本日をもって貴様らはウジ虫を卒業する
本日から貴様らは海兵隊員である
兄弟の絆に結ばれる
貴様らのくたばるその日まで
どこにいようと海兵隊員は貴様らの兄弟だ
多くはベトナムへ向かう
ある者は二度と戻らない
だが肝に銘じておけ
海兵は死ぬ
死ぬために我々は存在する
だが海兵は永遠である
つまり―――貴様らも永遠である!
強烈です。軍人としての彼らのアイデンティティーを創りだしてしまいました。
後半部では、スナイパーの女性兵士をジョーカーが射殺するシーンが印象に残っています。ジョーカー達との戦闘で瀕死の状態の女性兵士が「私を撃って・・・」と懇願する、葛藤するジョーカー。前半のインパクトが強すぎて、後半は盛り下がったような印象を受けてしまうのですが、ヘリで住民たちを無差別に撃つ場面やこのシーンはその中でも目を引きました。
兵士達の戦場に出る前と後の変化、軍隊のシステム、そして最後のミッキーマウス・クラブを歌いながらの行進などは深く考えることも出来ると思います。
監督自体は反戦映画と見なされていることに納得がいっていないようです。自分もこの映画には反戦のメッセージが込められているとは思いませんでした。
しかし、ベトナム戦争を描いた映画として間違いなく傑作映画の一つに入るでしょう。